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カーグッズマガジン編集長の「あれコレ気になるカーグッズ」雪の峠道ドライブ
若かりし頃のオイタを振り返る

倉嶋 源2020/02/14

クルマ生活応援マガジン、Car GoodsMagazine(カーグッズマガジン)の倉嶋編集長のコラム。カー用品からアウトドアグッズまで、クルマ生活に関連するあれやこれや気になるカーグッズをピックアップ。今回は若かりし頃の、雪道ドライブの思い出をつづっていただきました!


峠越え走破は冒険心をくすぐりました

山並みを縫う冬場の僻地とはいえ、穏やかな日中の国道だったら大過なく走行できます。それがまた“走破”を志す者への罠だったりもするのですが…。

さすがに20代の若い時分は、スタッドレスタイヤを買う余裕まではありませんでしたから、真冬の間は遠出したい気持ちをなだめつつ、近場をグルグル廻る日々で悶々としていたものです。しかし寒さが一段落し始めると、もういけません。雪の関所を縫うように、少しでもより遠くへ赴いたものです。
東京に住んでいると、北方面のハードルは高くとも、東西両方向のロングドライブは道路環境もよく、朝晩を除いてはあまり冬を感じません。確かに高速道路を始め、幹線道路を行き来するだけならいいのです。けれど血気盛んな若者はなぜか進路に勾配を求め、そしてより交通量の少ない穴場を求めます。
そうすると、どこに行っても山国ニッポン、やはりちょっとした峠に差し掛かるわけです。峠越えの言葉にコーフンするのは何も走り屋だけじゃないでしょう。行って戻ってじゃ不十分。やはり「走破」することで、ちょっとした冒険心を満たせるわけで。
晴れた冬の日は澄んだ空気のおかげで山並みも映え、ノリノリに先を急げば、いざ遠くの山々がいつしか目前になり、そして山中に分け入ることになります。
徐々に標高を上げていくと、所々に雪の名残を見掛けるようになりますが、これもまた冒険心のなせるワザ。いい気になって前へ、前へ進みます。

雪道でピンボール状態に

見た目にキレイな視線の先に、このあと突入することになるのですから、のんびり写真撮ってる場合はないんですけどね。

路側帯の雪の名残で記念撮影。望まざる銀世界で七転八倒するのはこの後のことでした…。

少しドキドキし始めるのは、日陰の凍結路面を見掛けるようになった時。山肌の死角となり、日中の日差しがまったく当たらない場所では、うららかな小春日和でも思わずツルッと行く魔のスポットが点在します。こうなる頃には気分にも少し陰が差し始めるものですが、“走破“が身上の若人に引き返すという文言はありません。
これが先々見通せる真っ直ぐな道であれば、ふと冷静になることもできるかもしれません。しかしおあいにく様、峠道たるもの、くねくね道が多くてなかなか先が見えず、そうなると「この先は大丈夫」と根拠のない希望的観測のもと、さらに先へ邁進することになるのです。
あっと思った時には前も後ろも白銀の道で埋まっていました。引き返そうと思っても、足元があやふやな道ではむしろ下りのほうが怖いものです。上りのほうがまだマシであり、これも一時のものとの拡大解釈がピークに達する頃には、峠道のてっぺんに達していました。
これで山場は済んだと思ったのも束の間、まさにその場がヤマ場なのでした。下りに入った途端、ズルッといったのが運の尽き。みるみる道路を外れそうになるも、そこは除雪後の雪壁が道の両端に連なっています。衝突はあっという間でした。かなり身構えたものの、待っていたのは「バスン」という可愛らしい音。
右へ左へ、何回衝突を繰り返したのかは今でも定かではありません。「まるでピンボールみたいだなあ」と自虐的にボケーっと思えたのも、雪の壁が緩衝材になってくれたからでしょう。対向車がなかったのが幸いでした。古めかしい、樹脂むき出しの立派なバンパーが役に立ってくれたのかもしれません。一段落ついた後にクルマの全周を見渡しても、これといった衝突痕は見られなかったのには、ホッとした気持ちを通り越して笑ってしまいました。
呆気にとられてなすがままにしたのも、逆に幸いしたのかもしれません。

いまや冬は冬眠中のクマ

「天候急変でどうにもならない操舵不能状態に陥り、スピンしまった際はどうするか?」と問われたとあるレーサーがこんなことを言っていました。「何もしないのが教則」。クルマは自然と元に戻ろうとするからというのがその理由だそうです。それを実践した若い自分を褒めてやりたい所ですが、当然後付けの身勝手な結果論です(笑)。凍結路面でグリップを失うと、何をするにもどうにもならないことがよく分かったワンシーンでした。
しかし振り返ってみても、行程数十キロに渡る峠道のうち、ヤマ場は実質1キロもなかったと思います。その場だけクリアできれば何てこともなかったわけで。
スタッドレスタイヤは元より、金属チェーンまで行かなくても、最近では急場しのぎのソックス型すべり止めや、一時的にグリップを上げる魔法のようなツールもあります。さすがに乾燥路面同様の通常走行は叶いませんが、ヤマ場脱出に役立てばそれでいいわけです。そんなことに気づいたのも後日のこと。今やワタシも四十過ぎ。若い時分のオイタを通じ、冬場は家でじっとする栄智を身につけました。いやむしろ、冬眠中のクマと言った方がいいかもしれません(笑)。

文・倉嶋 源

カーチューニング誌での丁稚奉公、新車雑誌での下働きを経て、2007年よりカー用品専門月刊誌・カーグッズマガジンの編集長を襲名。雑誌業界歴20年超の大半を通じ、オートアフターマーケット業界に身を捧ぐ。