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カーグッズマガジン編集長の「あれコレ気になるカーグッズ」実話、車両盗難。

倉嶋 源2020/09/18

クルマ生活応援マガジン、Car GoodsMagazine(カーグッズマガジン)の倉嶋編集長のコラム。カー用品からアウトドアグッズまで、クルマ生活に関連するあれやこれや気になるカーグッズをピックアップ。今回は編集長のゾッとした経験、実際に編集長の身に起きた車両盗難のお話です。


警察からの電話で気がついた盗難

なんてことない、ごく普通の青空駐車場ですけど、そこにあったはずのクルマが消えていたとしたら……ゾッとしますよね。記念に押さえておいた発見直後のスナップは、奇しくも画角の傾きに当時の動揺が見て取れます。

仕事柄、被害に遭った方に直接取材した経験もあり、他人事ではないと常々思ってはいたんです。けどね、いざ自らがその状況に遭うと、何か狐につままれてるような感じだったことをよく覚えています。
今回は車両盗難のお話。今から10年ほど前の、自らの身に起きた実話で御座います。
発覚は、警察からの一報でした。自動車盗難犯の巣窟、ヤードと呼ばれる解体現場で見つかった車両を元に辿られたその電話は、現場取り押さえを報せるものでした。後から聞くに、被害届けも出ていない車両所有者への連絡は、関係筋を洗う意図もあったそうです。
なぜ被害届けを出していなかったのか。それは、盗られたことさえ気づいていなかったからです。遅きに失すも慌てふためき、電話を切るなり一目散に駐車場に飛んでいくと、確かにあるはずのクルマが消えている。
救いは、あるはずのクルマがここにはなくても、遠くの警察署にはあるということ。それでも、その場にへたり込みたいぐらい凹みました。行方不確かのままに突然起きたらどうだったでしょう。想像するだにおぞましい話です。

他車の警備システム発動に助けられる

多方面に取材を重ねた経験から、セキュリティシステムは装着済でした。しかもアップグレードとしてわざわざ付け替えた二代目です。当然、純正装備のイモビライザーも生きています。思えばこれが過信だったのでしょう。盗難に遭った日は、その季節では稀の、雨の日でした。奇しくも徹夜続きの日々だったので、盗難現場のすぐそばにいて、しかも起きていたことになります。
最終的に、プロの手口そのものは防げないと、あらかじめ承知はしていました。ただ、システム解除には電源配線に関わらず大音量が鳴る構造だったことも事実です。それでも、雨音がその音をかき消してしまったのかもしれません。逆に言うと、窃盗グループはその日を狙っていたということでしょう。
運良く見つけられたのは、同じタイミングで盗まれた他車の警備システムが発動したためだと、現地警察が教えてくれました。GPSによる位置特定と並行してプロのガードマンが現場急行するというお大尽サービスの、それこそご相伴に預かったということです。
当日被害に遭ったのは、自車のほかにもう2台あり、いずれもご近所の車両だったそうです。発見現場はそこから100km以上離れた場所だったことから考えると、計画的犯行だったということでしょう。下調べを前提に狙い目となるエリアを決め、遠征してきたに違いありません。

盗難現場を管轄する警察署で事情聴取

電話による一報を受けた後、すぐに盗難現場を管轄する自宅近くの警察署に赴き事情聴取を受けます。「手狭で申し訳ありませんね」と通された場所は、窓のない取り調べ室でした。それだけならまだしも、車両確認に赴いた現地の警察署では、両手五本指の指紋をくまなく採取されます。なんでも、車両内の指紋を鑑識する上で、所有者と混同しないためとか。車両盗難によるダメージはこんな所にも及びます。
狐につままれたようなボンヤリとした状況から、少しずつ犯罪被害の現実感が増すその過程を決定付けたのは、保管車両内にあった飲みかけのペットボトルを目にした時でした。生々しく、そして我が物のように車内で振る舞う他者の気配を強く感じさせるものです。
終始、腰が低く丁寧に接してくれた担当の私服刑事ながら、車両が発見された現場を教えて欲しいと伝えた時に、プロの顔が垣間見えます。現地に赴くのは危険です、絶対におやめ下さいという強い警告は、地域に巣くってしまった深刻な問題を感じさせるものでした。

車両盗難対策には原始的なグッズも有効

専ら海外への転売ルートが確立されている特定のクルマだけが狙われていた当時と比べ、商用タイプのワンボックスや軽自動車までが狙われるなど、期せずとも車両盗難市場は広がってしまっています。残念ながら、確実な防衛策はないというのが度々の取材経験を通じて到達した結論です。一度狙われてしまったら防ぎようもなく、自らの力ではどうにもならない。それぐらい、プロの窃盗団は脅威かつ凶悪ということです。
他方、作業の手間が増えるクルマはプロにも敬遠されるというのも事実のようです。業務の一環だけに、作業がラクな方を狙うという職業真理もあるのでしょう。電子的なアンロック技術が高度化するなか、ハンドルロックやホイールロックなどの原始的グッズが今なお実用的との評価もあります。ボディカバーなども、人目を避けやすいために狙いに遭いにくいという意味で有効でしょうね。
それでも、最後の手立ては、やはり車両保険。間の悪いことに、すでに10年落ちの旧型車でしたから、この時は車両保険を外した後でした。つまり、直すも何も全て自腹です。財布とにらめっこして少しずつ破損部品を新調し、完全復帰までに2年を要する長い旅路でした。車両保険のないクルマの場合、運良く見つかったとしても、その日から第二の悲劇が開幕するというわけです。もちろん保険が万全だったとしても、不快な事後処理を含め、ノーダメージとは行きませんが。

車両確認時、一見「無事だった」と安堵したのもつかの間、ドアを開けた後の光景に愕然とします。

無造作に転がった、運転席足元の汚れたウエスとむき出しのドライバーが痛々しさを助長させます。

イグニッションのシリンダーまわりも乱暴にこじ開けられていました。部品単位に解体して海外に流そうとしたためか、手口の一つ一つは荒々しいものでした。

文・倉嶋 源

カーチューニング誌での丁稚奉公、新車雑誌での下働きを経て、2007年よりカー用品専門月刊誌・カーグッズマガジンの編集長を襲名。雑誌業界歴20年超の大半を通じ、オートアフターマーケット業界に身を捧ぐ。