バッテリー交換は
自分でできる?
交換の際のリスクや
交換方法を解説
更新日:2022年9月30日
車のバッテリー交換は自分でできますが、やり方を間違えると、ショートを起こし火災につながるなどトラブルになる場合もあるので、確実かつ細心の注意を払いながらの交換作業が求められます。そこで今回は自分でバッテリー交換をする際の注意点と交換方法を解説します。
バッテリー交換は自分でできる?
バッテリー交換は手順も簡単で、必要な工具もスパナやレンチといった基本工具のみなので自分で行うことも可能です。また、自分でバッテリー交換をすれば作業工賃などの費用が抑えられるというメリットも。
一方で、車のバッテリーは多くの電気を蓄えており、バッテリー液には希硫酸を使用しているので慎重に作業を行わないと様々なトラブルが起こるリスクがあります。では、具体的に自分でバッテリー交換をする際に起こりうるリスクを紹介します。
自分で交換する場合のリスク①:
端子の接触によるショート
バッテリーは、プラス端子(+端子)からさまざまな電装品へ電流が流れ、車の金属部分からマイナス端子(-端子)へ流れています。そのため、マイナス端子が繋がっている状態で、金属製の工具を使いプラス端子を取り外す作業を行う場合、工具が車体の金属部分に触れるとプラス端子とマイナス端子が直結した状態になり、火花が散ります(ショート)。
ショートは電流が一気に流れるので工具が熱を帯び火傷をしたり、発火する危険性もあるので大変危険です。
プラス端子は赤いカバーで覆われているケースが多く、また(+)記号が記されている場合もあります。マイナス端子はむき出しになっているケースが多いです。
自分で交換する場合のリスク②:
バッテリーの選び間違い
車に不具合が起こらないためにも車に適合したサイズ、規格、容量のバッテリーを選ぶ必要があります。例えばバッテリーの端子の位置が異なるものを選ぶと電源コードが届かず取り付けができません。
また性能ランクの低いバッテリーを選んだ場合は、バッテリーの寿命が早まったり、低い気温時の始動性が悪くなりエンジンを始動するための装置(オルタネーター)に負荷がかかりやすくなります。購入したバッテリーを無駄にしないためにも、車に適したバッテリーを選ぶことが大切です。
自分で交換する場合のリスク③:
バッテリーの重さによる体への負担
バッテリーの重量は意外と重く、普通のバッテリーで約10kg、重いものだと約18kgあるものもあります。バッテリーを持ち上げるときは、腰などに負担がかかるので、自分で交換する場合は、バッテリーを持ち上げられるか確認することも大切です。
自分で交換する場合のリスク④:
車の不調
最近の車は電子制御されている機能が多く、例えばアイドリングストップシステムが搭載されている車は、メモリーバックアップという作業をせずに交換を行うと、一時的に走行性能に不具合が生じるケースがあります。
また、メモリーの再設定が面倒な車種もあるため、一部の車でもバックアップが推奨されています。車のメモリーを保持するために、専用のアイテムを用意して、交換時は同時にメモリーバックアップも行いましょう。
自分で交換する場合のリスク⑤:
ナットの締め過ぎ
バッテリーを取り付ける際、端子に装着されているバッテリーターミナルのナットの締め過ぎに注意しましょう。ナットの締め過ぎは金属疲労が進み、ターミナルが割れる原因になるので、適正締め付けトルクで締めましょう。ターミナル部が割れると、電気が流れにくくなりエンジンがかからないというトラブルにもつながります。
バッテリー交換は一見自分でもできそうですが、ちょっとした作業ミスでショートしたり火傷の危険性があります。また正しく取り付けないとエンジンがかからないというトラブルになる可能性も。
少しでも不安に感じたら、プロに依頼したほうが安心で確実です。自分でバッテリー交換する際は、事前準備を十分に整えてから各作業を丁寧に行う必要があります。それでは次の章からは自分でバッテリー交換するときの事前準備について解説します。
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バッテリー交換作業の前に
確認すること
バッテリー交換をする際は、車に装着するバッテリーの用意や交換時に使用する工具類、バックアップするためのアイテムなどを揃えておく必要があります。
車に合ったバッテリーの用意
バッテリー交換を自分で行う場合は、まず、自分の車に適合するバッテリーを選びます。同じ車種でも年式やグレード等によってバッテリーの種類は異なるので、現在、車に装着されているバッテリーを確認しましょう。
バッテリーを選ぶ際は、バッテリーの上面に表記された型式を参考にします例えば充電制御車であれば「40B19L」、アイドリングストップ車であれば「M-42R」、EN規格の場合は「355LN1」などの英数字が表記されています。
関連ページ:
「バッテリーのサイズ・型式の見方について徹底解説!」▼
必要な道具を揃える
バッテリー交換に必要な道具は、バッテリーのプラス端子、マイナス端子につながっているターミナル部品を外すための工具、絶縁するためのアイテムなどが必要です。
スパナ、レンチなど
バッテリーを外すとき、取り付けるときはバッテリーのプラス端子、マイナス端子についているターミナル部のナットを取り外す作業が必要になるのでスパナが必要です。万が一、作業中に車の金属部に触れたなどの場合に備えてすぐに工具を離すことができるようにスパナで作業するのが基本。一般的にターミナルのナットは10mmです。またバッテリー本体が車両に固定されている場合は、固定金具を取り外す際にも必要になります。何mm対応の工具が必要になるかは車によっても異なります。
トルクレンチ
どれくらいの力でナットやねじを締めるかを測定する工具がトルクレンチです。車種ごとに適正な締め付けトルクは決まっているので確認して正しく使いましょう。
絶縁するアイテム
プラス端子のターミナルを外したら、周囲の金属部にプラス端子、マイナス端子が触れないように念のために絶縁しておくと安心。軍手や絶縁テープなどでプラス端子のターミナルを保護します。
作業用グローブ
バッテリーまわりに触れる作業をする際は、感電のリスクを減らすために絶縁手袋があると良いでしょう。
ワイヤーブラシ
バッテリー端子部に白い粉やサビが発生して汚れが付着している場合があります。端子が汚れていると電気の通りも悪くなるのでワイヤーブラシなどを用いて汚れを落とします。
メモリーバックアップ
カーナビやオーディオの設定などメモリーを維持するために必要なのがバックアップ機器。バッテリーターミナルに接続して使うタイプなどいろいろな機器があります。
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バッテリー交換作業に欠かせない
メモリーバックアップとは
バッテリーを外したときに、バッテリーに代わって電力を流して時計やオーディオ、カーナビゲーション、コンピュータの設定などを保持させることをメモリーバックアップといいます。近ごろは電装品が多く使われており再設定が面倒なものもありますので、バッテリー交換時は必ずメモリーバックアップを行いましょう。
次の章ではバックアップ機器を用いた、自分でバッテリー交換をする手順を紹介します。
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バッテリー交換方法
バッテリー交換は端子のターミナルを外して新しいバッテリーに交換するだけと、手順は簡単そうに見えますが、気を付けなければならないポイントが多数あります。ポイントを踏まえながら交換手順を解説します。
外し方
①バッテリー位置の確認、
エンジンを停止
車によってバッテリーが搭載されている位置が異なるのでバッテリーの位置を確認しましょう。分からない場合は車両説明書で確認します。バッテリー作業に入る前は必ずエンジンを停止させ、キーを抜きます。
外し方
②メモリーバックアップ機器の接続
ここでは端子ターミナルに接続するタイプの機器を使って説明をします。バックアップ機器のプラスクリップをバッテリーのプラス端子(+端子)のターミナル部(端子のところにつながっている部品)に挟みます。続いてバックアップ機器のマイナスクリップをバッテリーのマイナス端子(-端子)のターミナル部に接続します。バッテリーの取り外し作業をしている際に、クリップが外れないようにしっかりと挟み込みます。作業中はひっかけて外れないように気を付けましょう。
外し方
③バッテリーのマイナス端子の
ターミナルから外す
バッテリーを外すときはマイナス端子のターミナルから外します。ターミナル部のナットを緩めてケーブルを外します。続いてプラス端子のターミナル。外したら、ショート防止に端子のターミナル部が周囲の金属に触れないように軍手や絶縁テープなどで絶縁します。
カーバッテリーは、マイナス端子[❶]から外し、左の赤いカバーがされているプラス端子[❷]を外します。
外し方
④古いバッテリーをホルダーから
取り外す
古いバッテリーをホルダー(台座)から取り外します。固定されている場合はバッテリーステー(バッテリーを固定しているステー)を取り外します。バッテリーは重量が重いので手が滑らないように気を付け、また中身は液体が入っているのでなるべく傾けないように垂直に持ち上げましょう。
取り付け方
⑤新しいバッテリーを載せ、プラス
端子ターミナルから取り付ける
新品のバッテリーをホルダー(台座)に置き、固定されている場合はバッテリーステーを取り付けます。続いて絶縁用の軍手などを取り外し、プラス端子ターミナルから取り付けます。次にマイナス端子ターミナルを取り付け。締め付け過ぎには注意しましょう。
取り付け方
⑥メモリーバックアップを外す
最後にメモリーバックアップ機器を取り外します。
バッテリー交換は以上になりますが、慎重な作業が求められます。次の章ではとくに注意が必要なポイントを解説します。
バッテリー交換作業の注意点
バッテリー交換の手順を解説しましたが、電流が流れているバッテリーに触れる作業は細心の注意が必要です。ここでは特に気を付けなければならないポイントを紹介します。
バッテリー端子を接続する手順
端子を外すときは、マイナス端子(-端子)から外すことが鉄則です。取り付けるときはプラス端子(+端子)から取り付けます。つまりバッテリーのプラス端子ターミナルに触れるときは、マイナス端子ターミナルが外れていることがポイントです。マイナス端子のターミナルがつながっている状態で、プラス端子のターミナルのナットをスパナで外しているときに、万が一その工具が車の金属分に触れると大きな電流が工具に流れてショートします。大変危険なので、順番は間違えないようにしましょう。
作業中のプラス端子と
マイナス端子の接触
マイナス端子のターミナルのナットを緩めているときに万が一、工具が反対側のプラス端子のターミナルに接触したらショートします。ショートをしないように、マイナス端子に触れているときは、プラス端子は絶縁カバーなどで保護しましょう。
取り付け不良はないか
端子のターミナルの取り付け部や、バッテリーを固定する金具などがしっかりと取り付けできていないと、走行の振動などで外れてしまうことがあります。万が一、端子が外れたらエンジンが始動できなくなったり、ターミナル同士が触れてショートを起こす危険も。適切に固定しましょう。
交換後のバッテリーの廃棄方法
交換後の古いバッテリーは、基本的に自治体でも回収してもらえません。危険物が取り扱える業者に依頼するか、引き取り可能なガソリンスタンドなどの店舗を探す必要があります。カー用品店などでバッテリー交換を依頼した場合は、処分してもらえるので破棄処分の手間が省けます。
端子の取り扱いをはじめ、破棄方法など手間が意外とかかるバッテリー交換は、プロに任せたほうが安心でスムーズです。
\バッテリー交換が大変だと感じた方に/
「ジェームスのバッテリー交換がおすすめな7つの理由」▼
バッテリー交換を依頼するなら?
バッテリー交換は自分で行うこともできますが、ショートするなどのリスクがあるため、少しでも不安を感じた方はプロに依頼するのが安心で確実です。では実際にどこに依頼することができるのかを紹介します。
カーディーラー
カーディーラーで交換することも可能です。確実に作業してもらえる点はメリットですが、純正同等バッテリーの取り扱いのみですので費用が高くなりやすいことがデメリットです。
整備工場
行きつけの整備工場がある場合はコミュニケーションがとりやすい点はメリットでしょう。依頼先によっては作業の品質に差が出る場合があります。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでも交換できることもあります。最寄りのガソリンスタンドで依頼すれば車を持って行きやすい点はメリットです。デメリットは用品を取り扱う専門業者ではないので、バッテリーの品揃えが少ない場合がある点です。
カー用品店
カーバッテリーを筆頭に車の消耗品の交換でもっともおすすめなのはやはりカー用品店です。豊富な品揃えの中から、車の状態に合わせてバッテリーを選定し、取り付け交換作業も確実に行ってもらえる点はメリットです。選べるバッテリーが多いことやメモリーバックアップ機器の購入も不要なことなど、総合的に考えると、バッテリー交換費用も抑えられるメリットがあります。
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「バッテリーの選び方」を見るまとめ
バッテリー交換は自分でも行うこともできますが、丁寧な作業が求められます。バックアップしながら、ショートしないように注意して交換するのは、慣れない方には不安が多い作業です。最適なバッテリー選びから交換作業、古いバッテリーの破棄処分も含めて考えると、プロにお任せしたほうが安全に確実に作業してもらえるので、愛車もオーナーご自身もノンストレスです。
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よくある質問
バッテリー交換は自分でできる?
- 自分で行うことはできますが、細心の注意を払いながら丁寧な作業が求められます。また、火災などトラブルの可能性や古いバッテリーの破棄処分など、リスクがあり手間もかかります。
自分で交換する場合、どんな準備がいる?
- 車に適したバッテリーの購入、スパナなどの工具やショート防止のための絶縁テープなどのアイテム、カーナビやオーディオなどの設定を保持するためのメモリーバックアップ機器の用意が必要になります。
交換作業の注意点は?
- バッテリーの端子から外すときはマイナス端子から、取り付けるときはプラス端子から、端子同士の接触を避け、工具が車体金属部に触れないように注意するなど、ショートを起こさないための注意が必要です。少しでも不安を感じた方はプロに依頼しましょう。
メモリーバックアップって何?
- カーナビやオーディオ、コンピュータなどの設定を維持するための作業です。最近の車は電子機器が多く、車種によってはバックアップが推奨されているのでバッテリー交換時はバックアップを行ったほうが賢明です。バックアップには機器が必要になります。ジェームスに依頼すれば確実に行えるので安心です。
バッテリー選びについて
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この記事を執筆・監修した人
鈴木珠美(Suzuki Tamami)
カーライフアドバイザー&ゆるトレ講師。車専門誌、女性誌の編集者を経て、車のある暮らしにまつわる企画・編集・執筆。また運転疲れを軽減し、安全運転へ導くストレッチの監修も行う。女性の車生活を応援する「beecar(ビーカー)」編集長。その他、ワークショップの開催、TV・ラジオ出演等
※2022年9月30日時点の情報に基づいた内容です